土曜の夜は、バブルガムナイトのフライヤー折り込みを兼ねて、

マモル&デイビスhttp://www1.odn.ne.jp/davies/の新曲発表ライブに、西荻窪へ。


場所が、3、40人も入ればいっぱいになるような小さなパブで、音量絞っての、ギター、ベース、パーカッションという編成だったのだけど、いやいや、まごうかたなきロックンロールだった。


グレイトリッチーズ時代は、どっちかというと黒くてファンキーなテイストの強い感じだったし、ソロになってもしばらくはやや渋さや疲労感が勝った路線だったと思うけれど、ここ数年、特にベースにEXポテチ、かかし、現ペリカンオーバードライブのマサル君が加わってからは、グンとガレージっぽくなって、見違えるようにリフレッシュしてるなあ、と思う。
(そのマサル君にしてからが、硬めの音でリードベースっぽい疾走感を強調したプレイが、ペリカンの時よりもグンと若返って感じられる)
近年の、スタイリッシュで抜けのいい後輩世代のガレージバンド達との交流がいい方向に出てるんだろうなとも想像するし、人間(特に我々世代くらいまでのヤツらは)、若い時には繊細な韜晦ゆえに背伸びしてシブがりたいもんだったし、歳くうほど逆にいい意味での諦めや開き直りからシンプル、ストレートになっていくという人が多くなってるように思う。


大きなルーツである清志郎の、等身大でストレートな子供っぽさを受け継ぎながらも、もっと不器用で頑固で熱く、同胞のピーズのように浮き草バンドマンの無為な日々を投げやりに歌っても、どこかダウナーな世界に潜りきれないきまじめさがかいま見えてくる。
そんな熱さと固さのために、ロックンロールの世界にスタイリッシュなはまりどころを見つけるのが難しくて、それが若い世代には時に「古さ」と感じられたこともあっただろうと思う。
けれど、彼はロック愛、音楽愛だけをたよりに、一徹に自分の資質を発酵させて、現在の状態に辿り着いた。


度重なるメンバーチャンジの中で、メンバーへの期待や依存心を振り切るように、ぐんぐんギターはうまくなり、「ロックンロール研究家」と呼びたいくらいに音像のディティールへのこだわりも深められたけれど、技術の自信が逆に彼を自由にして、一回点したところで風通しのいいバンド志向へと突き抜けさせた。


それは、かつての大人の渋味とか、クレイジーな天然のロックンロールとは違うし、意味や内省から自由な若い世代のスタイルとしてのロックンロールとも違う。
言ってみれば、万年青年のまま、迷いを突き抜けソリッドし、どんどん若返っていって、「地に足のついた万年青年」とでもいうべき、独特の境地とスタイルへと突き抜けた、というところだろうか。


いやあ、バンドブーム後十数年を生き抜いた、リアル『アイデン&ティティ』世代達は、フィクションよりもずっとたくましくて、したたかだよ。


なかなか、頑固になれず、シンプルにもなれない、歳を重ねるほどに取り止めもない自分のようなヤツとしては、距離を詰めると頑固さに勝手に気圧されてしまいそうで、ついつい遠くから見守るという形になりがちなのだけれども、地に足ついた背筋の伸び方と、それ故の若さ、眩しく見させていただきました。