読書は一生がかり

通院の待ち時間に、芥川龍之介『舞踏会』を読む。帰りに、いつも竹の子生活でお世話になりっぱなしの音羽館で、岩波文庫チェーホフ3冊と、ガスカール『種子』。何だか学生時代に戻ったような読書だが、楽しい。

しかし、学生時代は殆どの本を、何もわからないまま無理矢理読んでいたんだなと痛感する。わかるための条件が自分の中に熟していなかったというか。正直、今読むのが丁度いい感じだ。

若い頃の悩みや、心の中にある問いが今に比べて浅いものだったということでは無く、それをどこにどう位置付けるかの見取り図や引き出しが整っていなかったということ。知識や経験が積み重なっている分、今の方が生きるのはずっと楽だ。考えを位置付け納得する言葉を持っているというのは、強いことだ。
ある程度の土台が出来てくると、わかっていないことが何かもわかってくるし、わからないなりにそれなりに自分を支えてもいける。
反語に反語を積み重ねて人生に教わる部分も多いことだから、急いでも仕方がないのだけれど。