『音楽誌が書かないJポップ批評52 X JAPANの全軌跡』

Blue Blood Tour 爆発寸前GIG』のビデオレビューを寄稿しました。
久しぶりのJポップ批評登板ってこともあって、本当はもっといっぱい担当したかったんだけど、残念ながら時間が無く、今回はこれ一本だけの参加。
勢い余ってレビューというより総論っぽくなってしまった...
X (JAPANって付けるのは、いまだに違和感がある)、世代がちょっとずれてることもあって、旧現役時代は決して積極的なファンだったわけじゃないんだけど、今はある意味、他のどんなバンドよりも懐かしいし、応援したくもなる。
特に初期は、スカッとした暴力性と、繊細な情念が、凄く健康なバランスで共存してる様子が、傍目にも新鮮で内心結構好意を持っていた。
当時はパンク(特にブルハ的な方向に向わなかったハードコア勢)は内向的に尖りすぎて重く閉塞していたし、メタルも様式とテクニック偏重になりすぎてこれも内向きに閉じた感じになっていた。
バンドブームで、ロックが一気にメジャーな「皆のもの」になってしまった一方、古参のロックファンはルーツ回帰とか、これもやっぱり内向き志向になっていて、ギターをガーンって弾いて、ストレートに正負込みの青春の衝動を叫ぶような種類のロックが、調度出てきにくい状況だったと思う。
そういう、格好付け過ぎてみんなが自縄自縛に陥ってるような状況の中で、Xは「過剰さ」を否定せずに、むしろ全部引き受けて、全速力で正面突破した。
後の世代にはビジュアル系の始祖とか、ヨシキの「美学」とかってイメージが強いと思うけど、この渋公や、京都スポーツバレーでのLIVE映像なんか観てると、グールのマサミさんとか、ハードコア勢と仲良かったのもよくわかる。
ただ、この頃は「破滅的」な感じはそんなになくて、むしろ構えがなくてベタな分、暗くない。
何と言うか、ロックとかパンクというよりも、だんじり祭りとか裸祭りとかそういうのに近いノリ。
そういえば、ヨシキが母校の甲子園初出場を喜んで、ポンと一千万寄付したのは最近の良い話だったな。


Xについては何年か前の『「ビジュアル系」黄金伝説』特集の時にも、「X JAPANこそ、真の「オルタナティブ」ロックである!」他、いろいろと書いてるので、ファンの皆さんにチェックしてみて貰えると幸いです。

音楽誌が書かないJポップ批評 52 X Japanの全軌跡 (別冊宝島 1520)

音楽誌が書かないJポップ批評 52 X Japanの全軌跡 (別冊宝島 1520)

音楽誌が書かないJポップ批評 (27) (別冊宝島 (821))

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