私のこだわり人物伝 色川武大

http://www.nhk.or.jp/shiruraku/200803/tuesday.html
紹介者が柳美里ってことで、敬遠している人も多そうだけれど、番組の出来が凄くいい。
特に、松田優作の時にも登場した切り絵風のアニメ映像が良い。
第一回の『狂人日記』では、色川作品に頻出する、猿や虫の大群が部屋に増殖していくイメージを映像化していたし、一連の生家ものを取り上げた第二回では、実家の床下に穴を掘りまくる親父と色川少年、なんてシーンも登場。
活字や口頭での断片的な紹介だけだと、ちょっとストレートに深刻なニュアンスになりすぎてしまいそうな、何かに固執するあまり、物事に対する通常のけじめみたいなものがなし崩しになった、不気味だけど微妙におかしい色川作品のテイストが、初見の人にも良い具合に伝わりそうだなと思った。
明日の早朝5時くらいから第二回の再放送があるみたいなので、ファンの方にはお薦めです。
例の親父さんの写真も何枚も紹介されていて、ちょっと加藤嘉に似た、長身痩躯で彫りの深い、「清潔な鶴」のような風貌に、やはり...というか、凄く納得もさせられ感慨深かった。


「穏やかにアウトロー」ってサブタイトルも悪くないんだけど、どうせなら「生きているお化け」とか「妖怪」なんて形容にしてくれると、色さんの作品にも、この切り絵アニメにも更にピッタリ来そうな気がする。
本当、今やってる『墓場鬼太郎』のアニメなんかより何倍も、「妖怪」ってものが何を意味しているかが、すっと腑に落ちる形で伝わると思うんだけど。


切り絵風アニメ、「モスデザインユニット」ってところの製作らしい。
http://www.mossd.com/~moss/index.html
ドストエフスキーも見たかったなあ...