theピーズ at 千葉LOOK 


theピーズに夢中な同居人に付き合って、千葉LOOKくんだりまでライブに行ってきた。
遠くて疲れたけど、地方都市っていうのは街がひとまとまりにでかい分、いろんなものが雑然と存在していて、その風情がごちゃっと大味で、都内の生活が長い身には新鮮だし、また懐かしくもある。ピーズを見るにはまさにおあつらえ向きとも言えるし。


ライブは、なんと半分くらいが新曲。平熱で内省的だった前々作、無理やりエンジンふかしてみた前作に続き、エンジンふかしたところで鮮度が続くわけでもなく、長い目で見りゃ結局ループでしかないんだよな、でも、やるんだよって具合に、淡々と居直った、ダルで相変わらずヘヴィーだけどちゃんと力はこもってるってな印象の曲が並ぶ。
あまり言及されないけど、最近はオルタナ以降の、静謐なヘヴィーさを感じさせるバンド群の影響がメロディにも感じられ、また消化の仕方が地に足ついてて傍目にはごく自然。バンドの自由さと鮮度の保たれ具合がここにも象徴的で、またも傑作の予感。

ただ、ライブで聴くにはやはり地味かつヘヴィーで、お客さんの新曲への反応はいまひとつ。客層は往年のファンと復活後の若い子が半々くらいのいい感じ。繊細なヘヴィーさへの理解と、そんなことはもううんざりするくらい前提なんだから、投げ出してはじけてキメちゃおうぜって気分もしっかり共有されてるそんな彼らにも、最近の作品は「微妙」で「重い」のだ。



加えて、以前観た時(ガッチリワンマン観たのは活動休止前だから、もう7,8年になるか...)にくらべ、やたら曲間の休憩が多く、どう頑張ってもそこで緊張が切れてメリハリも何もなくなってしまう。ただ、そうした「いかんともしがたい」衰えも、既に本人たちはよく自覚していて、それもそのまま投げ出してるし、それしか仕方ないじゃないかという風情がまたどこか風通しの良さも生んでいるんだが。

MCでは相変わらず小学生並みの下ネタやバカ話と、枝豆とビールで野球見てるオヤジのノリ(こういうのをポーズじゃなくさらっと投げ出せるのが、彼らの才能の核心でもある)で、一方では彼らにとってロックンロールが好きっていうのは、オヤジが野球好きってのと同じくらい「今更良いも悪いも無い」ってふうな安定感を感じさせもするんだが、やはり本当に本当のところでは、どこかそれに「意識的」にならざるを得ないくらいに、彼らはそうしたオッサンたち程には図太くないのだ(このバランスが知性と安定感の両方を感じさせ、若い子に受け入れられてる所以でもあるんだが)。
こうしたボケMCも、イベント等で見ると異彩を放ってて楽しいんだが、長丁場のワンマンだと、これはこれでくたびれたオッサンの精一杯のサービスなんだって風情がどんどん露になって、何と言うか...(笑)

若くて感性ストレートな同居人には、こうした平熱でビミョウな疲労感が、パーティーノリで薄められず生に表現されてる新曲群のリアルさがジャストにお気に入りだったようだけれど、オッサンの俺としては、そうしたことはもう共感というよりも、単に俺自身の気分でしかないので(「センス」だけで乗り切れない年齢になると、殊にものごとを突き詰めて考えざるを得ないタイプの人間というのは、だんだん思考の息が短くなって、大体似たようなところに落ち着いてしまうものらしい...)、アルバムはともかくライブの方は、貧乏だけどテレビとビールでまんざらでも無いぜってな、労働働者階級の伊達男的風情の方へ、もう少し揺れ戻して欲しいかな、とも思った。


The ピーズ in HIBIYA [DVD]

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