ブックバトン


id:gotanda6さんより回していただきました。


1)Book reading right now (今読んでいる本)


西鶴一代男』笠原和夫
70年代末にショーケン主演、工藤栄一監督で企画され、『影武者』の煽りで(!?)流れたお蔵入りシナリオ。


2)The last book I bought (最後に買った本)


山上伊太郎のシナリオ』マキノ雅広稲垣浩


『完本 美空ひばり竹中労

完本 美空ひばり (ちくま文庫)

完本 美空ひばり (ちくま文庫)

解説で山崎浩一が、「七五調的な叙情が諸悪の根源」ってな安易な立場で戦前的なるもの、日本的なるものを批判する進歩派を「植民地根性」と攻撃してた竹中労への、自分たちサブカル文化人の反発を大袈裟に反省してみせてるけど、本当に何をいまさらって感じだ。


3)Five novelists(or writers) I read a lot, or that mean a lot to me (よく読む、または特別な思い入れのある 5 人の作家、または小説家)


色川武大阿佐田哲也
坂口安吾
福田恆存
今東光
武田百合子


4)Five books  I read a lot, or that mean a lot to me (よく読む、または特別な思い入れのある5冊の本)


『百』色川武大

百 (新潮文庫)

百 (新潮文庫)

自分の資質やコダワリについての我侭な(ほとんど常軌を逸した)固執、そしてそれをこちらに感じさせないくらいの意識、認識の行き届き方において、突き抜けてる人。
彼は「人間が神とか自然とか運命といった自分よりも大きなものと向き合い、敗れていく過程を書くのが文学」だと語っていたけれど、これは肉親との関係をはじめ半径数メートルの機微に淫しながら、意識が行き届く程に閉塞や崩壊がいかんともしがたく浮かび上がってくる、という意味でまさしく「文学」。


『「妖しの民」と生まれきて』笠原和夫

「妖しの民」と生まれきて (ちくま文庫)

「妖しの民」と生まれきて (ちくま文庫)

手がけた全作品について自ら語った『昭和の劇』は掛け値なしの名著だけれど、脚本家デビュー以前、大竹海兵団の志願兵だった頃を綴ったこの少年期の自伝では、あれだけの娯楽映画の傑作群を生み出しながら自作を全否定するかの発言をし、敗戦処理の欺瞞と戦後の虚妄を撃ち続けた彼の、反骨と叙情の根の深さが更に垣間見えます。


『私の幸福論』福田恆存

私の幸福論 (ちくま文庫)

私の幸福論 (ちくま文庫)

「幸福」とは、際限のない無いものねだりの向こうに在るのではなく、いかに「不幸に堪える」かの知恵であることを教えてくれる一冊。けれどそれは、日本的な「無常観」に発する宿命論ともまったく違う。「自分の限度と不確かさ」を前提として受け止めながら、徹底して事実に向き合い認識していく「強さ」に、福田恆存の思想は貫かれている。


桜の森の満開の下坂口安吾

桜の森の満開の下 (講談社文芸文庫)

桜の森の満開の下 (講談社文芸文庫)

エッセイでは「学問は限度の発見だ」と明晰に語りながら、同時に人の欲望の「果てのなさ」にどうしようもなく惹かれ、また畏れる自分を見つめ抜いた、誠実な緊張感が漲り、かつスケールの大きい小説。『夜長姫と耳男』も好きです。


相楽総三とその同志』長谷川伸

相楽総三とその同志 上 (中公文庫 A 27-6)

相楽総三とその同志 上 (中公文庫 A 27-6)

相楽総三とその同志 下巻 (中公文庫 A 27-7)

相楽総三とその同志 下巻 (中公文庫 A 27-7)

維新に大きな貢献をしながら、公家と新政府の帳尻あわせのために「賊軍」の汚名を着せられ使い捨てられた「赤報隊」と相楽総三。その真実を、大衆文学の巨人が10年以上の月日をかけた徹底的な調査によって無償で掘り起こした、正に「紙の記念碑」。


5)Five people to whom I'm passing the baton (バトンを渡す 5 名)


id:border68さん


id:headofgarciaさん


id:HIROMIさん


id:hibikyさん


そして、id:gaikichi


例によってスルーOKですが、取りあえずよろしく。