『らんまん』と『野菊の如き君なりき』

宇崎竜童さんが出演するらしいとの情報を聞いて、久し振りに朝ドラを見ている。今週から主人公の青年期の話になって、だんだん好きになってきた。女人禁制の酒づくりに興味のある姉役の子が、『野菊の如き君なりき』で民さんを演じていた素人の女の子の印象と少しかぶって(外見が似ているわけではないのだが…)気になっていたのだが、青年編になって一層関心が強くなった。
『野菊~』は昔の映画だから、主人公も民さんも内心を語ったりはしない。家族も、二人に同情していないわけではないけれど、それでも「こういうものだから」と当時の現実に従って、彼等を助けたりはしない。結局哀しい結末になるけれど、皆ただ運命を受け入れつつ泣くだけだ。
『らんまん』は今のドラマだから、主人公が内心をセリフとして話すけれど、それがそんなに不自然と感じない。当時の人々の気持ちに添ったセリフにしようとの、謙虚な配慮が感じられるからだと思う。見合いに気乗りしないお姉さんが、「私は自分のことばかりで汚い」と言うのも、今のようなに時代に聞くと却って新鮮だ。『無法松の一生』で松が奥さんに恋心を寄せる自分を汚いと言っていたのを思い出した。
自分はちっとも汚いと思ってはいないし、無私を讃えられる程立派な人間でもないが、すっかり鬱陶しい現実でしか無くなったように感じている自由の有り難みを、新鮮に思い出すことが楽しいのだと思う。
神木君の、もろに理系な朴念仁ぶり(今で言えば完全にオタクですね)も、明るく肯定的に描かれ演じられていて楽しい。