2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

横丁の蕎麦屋の安心と、それを越える時の覚悟と

オタクを、広い意味でのマニアとか趣味人という意味で捉えれば、もはや自分などよりごく普通の友人知人たちの方がずっとオタクだ。たまに集まれば話題は大抵ロックや昔のテレビや時代小説。単純に昔は野球が共通の話題だったのが、今はそれが細かく分かれた…

定義の曖昧な言葉が当たり前に使われる現実とは何か

「ネット右翼になった父」鈴木大介さんインタビュー 晩年に豹変した亡父、嫌悪感を乗り越え検証した結果は(好書好日)https://news.yahoo.co.jp/articles/390adc8f97e0c12d9bcf7801b126db13301be72c 生真面目な好著だけれど、本当に正直に言えば、まだまだ…

歩兵のように

「自分たちは歩兵のような消耗品だ」世の中の多くの人はいつも、気持ちの深いところではそれをわかっていて、意識の底に沈めて、無事な今日をそれなりに生きてるんだと思う。自分のように、変にこだわってしまうちょっとおかしな奴以外は。 目の前の不正や理…

ネットから離れていた一週間

一昨日まで一週間近く電話が止まっていて、ネットから完全にはなれていた。その間、古い文芸誌の短編小説やエッセイを読み返していた。先日上げた武田泰淳の談話や、「海」の彼の追悼号の島尾敏雄や小島信夫の文章が心に残った。ゆっくりと落ち着いた文章を…

村上龍の新刊を読んだ

村上龍の新作を読んだ。彼を見て、残念ながらまったく自由の風は感じないけれど、じじいになっても小説の中でだけはツッパッてるところは憎めない。時代と噛み合わなくなっても、いくつになっても、彼なりに同じものに苛立ち、憧れている手応えだけは確認で…

手がかりがなく、途方に暮れる

自分の感覚はそのままでは受け入れられない、だから隠して何食わぬ顔で正解に口裏を合わせていないとまずいと、物心ついた時には思っていた。だから、相手や周囲の顔色を常に伺うし、サービスも譲歩も反省もできる限りする。しかし、そうでなかった者は、進…

坪内祐三『ストリートワイズ』再読

坪内祐三『ストリートワイズ』再読。97年刊。オウムの地下鉄サリン事件と、その後の論争(サブカルメディアや若者の間で「大人になれ派」対「子供のままでいい派」とも呼ばれた)の余韻の中での初読だった。当時は正直、オピニオンとしては微温的で迫力が足り…

武田泰淳「三島由紀夫のことー一九七四年夏の談話ー」(「海」77年1月号)

『富士』を書いていて、最後をどのようにまとめようかと考えていたところで、三島由紀夫さんの事件がおこったんです。彼が死んでくれなければ、終わらなかった作品ですよ。三島さんが死んでくれたおかげで、なんとなく筋が出来ちゃったような気がするんだな…