時間は夢を裏切らない。夢も時間を裏切ってはならない。

松本零士ワールドとわが青春の日々に思いを馳せつつラーメンライスを食ってきた。炭水化物の塊のような組み合わせだが、もう一つの松本作品定番メニューのビフテキと共に、健康への配慮など微塵も感じさせないボリュームと高カロリーが潔くていい。
おいどんの下宿館の近所のラーメン後楽園のオヤジは、飢えた彼にいつもラーメンライスをツケで食わせてくれた。下宿館のババアは、振られたり屈辱を受けたりしてしょんぼりと四畳半に帰ってくるおいどんに玉子酒を振る舞い、「あんた大物になるよ」と勇気づけた。ハーロックやエメラルダスは難しいが、未来のある若者の味方になれるこんな大人でありたい。零士先生自身がそんな下積みの日々の思いや恩義を終生大切に、忘れなかった人だろう。そんな温かさを手放さない意志そのものが僕等を支えた希望だ。
明日の為に今日も寝る。今日の為に明日も寝る。血となり肉となるものを食う。何があろうと食って寝てさえいれば最低限何とかなる。他人事の気休めでなく、自分と仲間たちの明日の為に課した言葉だ。
失うことばかりを怖れ、ひたすら神経質になることばかりを奨励する方向がインフレのように時代を閉塞させている今、松本作品の重心の低いタフなプライドに学ぶべきところは大きい。
俺たちも、心臓に毛をはやして生き抜こう。