借りものの名前には頼らない

特に目の前にはっきりした理由があるわけでもなく、心が金属疲労を起こしているように、鉛のように重い。同時に身体も重くなるので、動くのが億劫でいろんな用事を後回しにし、昨日もずっと部屋で単純仕事をしていた。
水面下の理由としては、気持ちをピュアにして言葉を研ぎ澄ますほどに、人は遠ざかっていくという、虚空に向けて空気銃を撃っているような虚しさがあるが、これは身近な関係や利害を犠牲にしても、独りに届く言葉を発したいという姿勢でやっている以上、仕方のないことだと頭ではわかっている。自分だってそういう言葉には、気軽に応答しにくい。
そうした理由が嵩じて、今特にこの状態が酷くなっているのか、それともそんな理由以前の心の性質なのか、ずっと自分の一方の基調低音のようになっている状態でもあるし、気持ちは取り出して客観的に吟味したり、他と比較したりというわけにいかないから、わからない。
でも、この状態に、安易に借り物の名前を付けたくないという気持ちはずっとある。