少年時代のマンガ&アニメ遍歴

確かに『がきデカ』、有名作だった割に、同年代の子供で熱心に読んでた友達、当時はいなかった(自分はいまだに食指が伸びず未読。積極的にはまるほどには、ギャグへの思い入れが濃くないのかも…)。何故だろう?ギャグマンガは鮮度が落ちちゃうのが早いという事情もあったのかもしれない。でも、梅図先生の『まことちゃん』は人気あった。つのだじろうの『恐怖新聞』や『うしろの百太郎』も、子供はいかがわしい怖いもの見たさ大好きなので人気だった(しかし自分は何故か一貫してオカルトに興味が薄く…)。
とはいえ、小学生の頃は決まった小遣いというものを貰っていなかった事情もあり、毎週のように発行される週刊マンガ雑誌というものがあることを知った時は驚愕。毎週本を買うなんて子供にはとても無理だろう!?と。周りにも定期購読をしているような友達はおらず、たまに床屋に置いてあるのを作品絞ってまとめ読みしていた。(ただ、月刊誌だが、ヤマトが連載されていた冒険王が、近所で一番の金持ちだった石油屋の息子の家に揃っているのを見た時だけは、あまり物に執着のない子供だった自分も羨まし過ぎて、しばらく脳裏から離れず…)
あとは、ほとんど本屋で単行本を立ち読み。昔は発行点数が少なかったこともあるのだろうが、近過去のヒット作は、田舎の小さな町の本屋にもずっと棚に常備されていた。『あしたのジョー』『ブラックジャック』『009』『デビルマン』あたり。(健康優良児でなかった自分ははまらなかったが『ドカベン』や『釣りキチ三平』、それにこちらは贔屓の『キャプテンハーロック』や『銀河鉄道999』も連載中から常時全巻立ち読みできた)なので、子供の頃は旧作と新作の別をほとんど気にしていなかった。
中学に入ると、毎週ジャンプを買ってる友達が時々。自分は毎週購読する財力は無かったが、借りてみんなで回し読み。好きだったのは宮下あきら『私立極道高校』『激極虎一家』、車田正美リングにかけろ!』『風魔の小次郎』、平松伸二『ブラックエンジェルス』(『ドーベルマン刑事』も遡って立ち読み)。『キン肉マン』にはあまりハマらず。本宮ひろ志も、少年マンガとしては旬を過ぎていたのかほぼスルー。
マガジンはスポーツなど身近過ぎる題材を扱う連載が多かったので、何となく暑苦しくて苦手だった(でも、『悪役ブルース』は好きで床屋でまとめ読みを)。サンデーは逆におとなし過ぎて、毎日無法の学園生活を送っていた自分にはひっかかりがなく。ただ、自分ははまらなかったが、あだち充作品は、不純異性交遊禁止時代の高級エロ本的な人気があったな。コンサバな虫のいい願望って雰囲気が、個人的には後の『島耕作』の印象と重なる。

しかし、自分の子供時代は、マンガよりも圧倒的にアニメ(当時はテレビまんが)。何といっても毎日タダで夕方から垂れ流されていたという事情がデカい。テレビの記憶は、ほぼ『マジンガーZ』の放映開始と共にはじまり、小学校入学の前年に『宇宙戦艦ヤマト』と決定的な出会い。再放送含め特に好きだったのは『侍ジャイアンツ』、『あしたのジョー』(ジョーもアニメが先)、『ど根性ガエル』『新造人間キャシャーン』『ガンバの冒険』など。やがてヤマトの映画化によるアニメブームが小学生の半ばくらいから始まり、大はまりしてアニメを卒業出来なくなる。この頃一人衝撃を受けていたのが、夕方ジャリ向け泡沫ロボットアニメとしてひっそり放送されていた『無敵超人ザンボット3』。当時は小学校も3、4年になるとロボットアニメなど恥ずかしいという時代だったから、こっそり一人で打ちのされていた。後に『ガンダム』にはまり、創刊され始めていたアニメ雑誌で、制作者が同じだったことを知り、驚くと共に納得。
その後中学時代は、無法の学園生活の日々の無意識の支えのように、富野由悠季監督作品はじめ、サンライズアニメに入れ込む日々(一番好きだったのは『戦闘メカザブングル』)。
しかし、『うる星やつら』や『マクロス』あたりからの、アニメファン出身の制作者による、アニメファン向けのフィティッシュな作品が主流になると共に、ドラマ派の自分とアニメが噛み合わなくなっていく。
話が前後するがもう一本、特別好きだったのが名作劇場の『赤毛のアン』。貧乏な苦労話や、健康優良児が活躍する教訓的な話が定番だったこの枠で、設定こそ孤児だけれど、不幸も苦労話も皆無、わがままで個性的過ぎる妄想少女アンがのびのび暴れる本作には、非常に開放感を感じた。田舎が舞台でありつつ田舎が美化も否定もされず、街からやってきた自由人たちがほどのいい風通しのよさをもたらすいいバランスも理想的。本作はいまだに、自分の幸福感のベースのようになっている。