mixiで「8、90年代邦画ベスト50バトン」という遊びをやってたところ、バトンを回したぜんば氏がご自分のブログで公開していらっしゃる。http://zenbar.seesaa.net/
その他受け取ってくださったみなさん、ぜんば氏と同じく実作者であり、映画批評サイトINTROhttp://www13.plala.or.jp/intro/で執筆もされている百恵紳之助さん、ロック画報の佐藤洋笑さん、『代々木ブルース』公開が待たれる廣田正興監督、そして元線引き屋の盟友奈落一騎君と、場所の制約でお見せできないのが残念だけれど、それぞれが選択基準の在り方も含め、真剣勝負の回答をつきつけてくださいました。



映画に限らず、何かを批評する場合に、「じゃあ、お前は何を良しとしているんだ?」ってところを、基準としてしっかり示すことを、自分は結構大事なことだと思っている。「ブレないこと」を目的化する余り、規制の権威に従属したり、それが移ろうと共に曖昧に口をぬぐいながら、常に自分を安全な場所に置くような小心なズルさは嫌いだから。
ブレはブレとして、変化の道程はそれとして引き受けて、その幅を良くも悪くも有限な自分の根拠として引き受けながら、普遍的なものに対峙していくような姿勢を手放したくない。
なんて、こうした遊びに対していかにも大袈裟だけど、そんなことをあらためて意識してしまうくらい、みなさんの背筋が伸びていることが嬉しかったし、刺激されました。
という訳で言いだしっぺの責任を取って、僕のベストもここに晒したいと思います。



1.ガキ帝国(井筒和幸 81年)
最高のヤンキー映画で、最高の青春映画。ビタースウィート!
2.キッズ・リターン北野武 96年)
青春の本質は、本当はいつだって変わらない。モロ師岡のキャラ造形が秀逸。 
3.野獣死すべし村川透 80年)
「わかるか!わかるか!」リアリティとは気合である。 
4.TATTOO[刺青]あり(高橋伴明 82年)
「女は例外なく不幸だし、男には幸福も不幸も無い。男はこうしているだけさ」(色川武大
5.竜二(川島透 83年)
うらむもいいさ(マイミステイク) いかるもいいさ(マイベイビー)
6.野獣刑事(工藤栄一 82年)
やるせない...
7.3-4X10月北野武 90年)
「井口だろ?」「イグチシャン...」
とにかくタカと渡嘉ちゃんが最高。
8.嗚呼おんなたち!猥歌(神代辰巳 81年)
極北のダンディズム。
9.十階のモスキート(崔洋一 83年)
異様に色気のある警官。
10.恋文(神代辰巳 85年)
卑怯なほど色気のあるダメ男。



11.いつかギラギラする日深作欣二 92年)
ロックしろよ、ロック!
12.二百三高地舛田利雄 80年)
夕陽の処刑シーンに始まる冒頭から、とにかくタフな映画。骨太!
13.大日本帝国舛田利雄 82年)
天皇陛下ッ、お先にまいります!
14.少年時代(篠田正浩 90年)
公開当時スルーしてた不明を心から恥じます。名画!
「わからんかーッ!?」
15.青春デンデケデケデケ大林宣彦 92年)
田舎の文系男子の憧れが詰まった青春映画。
16.機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙(富野喜幸 82年)
ガンダムは、最初は確かに青春映画だった。無重力になびくセイラさんの金髪!
17.時をかける少女大林宣彦 83年)
童貞は現実がキライ...
18.セーラー服と機関銃相米慎二 82年)
角川映画、劇場初体験でした。わけわからなくてクラクラした。
19.チ・ン・ピ・ラ(川島透 84年)
これぞ80年代の青春。今見ると恭兵もジョニーもすでに老けてる。そこもいい。
20.うる星やつら2 ビューティフルドリーマー押井守 84年)
中坊のころ、ヤンキー地獄の中学で、この映画みたいな生活に憧れてたけど、実際目の当たりにしてみると『キッズ・リターン』みたいな気分になった。


21.蒲田行進曲深作欣二 82年)
当時は「大人の映画だな」って思った。
22.伝説巨神イデオン 接触編 発動編(富野由悠季 82年)
テレビシリーズはガンダムより好きだったので、この映画はお祭りでした。
23.機動戦士ガンダム 逆襲のシャア富野由悠季 88年)
絵が嫌いで公開当時は観なかったけど、テレビ放映見てびっくりした。
24.岸和田少年愚連隊井筒和幸 96年)
ナイナイには今でも違和感あるけど、この時期にこれだけ匂いのある映画って凄い。
25.台風クラブ相米慎二 85年)
中学生はケモノです。
26.王立宇宙軍 オネアミスの翼山賀博之 87年)
アニメに愛想が尽きてたころに観て、びっくりした。87年って、文化的なターニングポイントだったと思う。
27.新世紀エヴァンゲリオン Air まごころを君に庵野秀明 97年)
テレビシリーズの不満を解消して余りあるインパクト。とにかくヌルいブームをキッチリ終わらせたのが立派。
28.岸和田少年愚連隊 血煙り純情編(三池崇史 97年)
『喧嘩の花道』とか、三池はこの頃のが好き。
29.座頭市勝新太郎 89年)
この映画のネタや絵作りがほとんど出てくるテレビ座頭市は、勝新の最高傑作だと思う。
30.ソナチネ北野武 93年)
これほど、バブルの爛熟と閉塞を体現した映画もありません。



31.もどり川(神代辰巳 83年)
流れ最悪の失敗作だけど、確実に2本と無い映画。
32.家族ゲーム森田芳光 83年)
当時の森田評価は正直バブルだったと思ってるけど、この映画の優作は好き。
33.その男凶暴につき(北野武 89年)
虚無と徒労感。
34.爆裂都市(石井聰互 82年)
実は陣内ってこの頃から全然変わってないと思う。POP!
35.すかんぴんうぉーく(大森一樹84年)
山田辰夫!!
36.闇のカーニバル(山本政志 81年)
地元の小さなライブハウスでの上映会で見た。良くも悪くも、はじめてナマのパンクに触れた気がした。
37.コミック雑誌なんかいらない!野村芳太郎 86年)
『モスキート』やここでの役者たけしは、本当に素晴らしい。
38.必殺!Ⅲ 裏か表か(工藤栄一 86年)
必殺ブームの最中、初期必殺を期待して観に行ったら、もっと陰惨だった...
39.ヨコハマBJブルース(工藤栄一 81年)
クリスタルビューチー... 『逃れの待』といい、この時期の工藤作品、財津一郎の怪演が光ります。
40.魔界転生深作欣二 81年)
ムラムラしてる室田さんが良い。



41.パンツの穴(鈴木則文 84年)
下品で馬鹿で甘酸っぱい青春映画。
42.生きない(清水浩 98年)
後期の武映画よりずっと良いと思う。
43.ビーバップハイスクール 高校与太郎行進曲(那須博之 87年)
デパートの屋上に隅田川。ノスタルジック。
44.ゆきゆきて神軍原一男 87年)
決して好きではないけれど...
45.火垂るの墓高畑勲 88年)
何度も観たいとは思わないが...
46.どついたるねん(阪本順治 91年)
その後の赤井は微妙だが...
47.さよなら銀河鉄道999 アンドロメダ終着駅(りんたろう 81年)
ラララッラッララララー♪
48.スケバン刑事 風間三姉妹の逆襲(田中秀夫 88年)
80年代に蘇った最高の仁侠映画
49.浪人街(黒木和雄 90年)
蓮司!!
50.愚か者 傷だらけの天使阪本順治 98年)
真木蔵人には、もっと映画に出て欲しい。


上位よりも、ある程度下のほうの順位の方が、今自分が何を優先しているかを意識するきっかけになって面白かったし、個性も出るように思います。
一回性の同時代体験、お祭り的イベント性、逆に現在から見て意味や価値を強く感じるものや、好みにジャストフィットなものetc。そういったバランスの世代ごとの強弱なんかにも興味がありますね。
ここを読まれたみなさんにも、バトン受け取って貰えたら幸い。