実家の夢

寝苦しくて、エアコンをゆるくかけっぱなしで眠っていた。鼻が詰まって寝苦しく目を覚ましたら、まだ何時間も眠っていない。眠りが断続的で、不連続に夢を見ていたので、もう明け方くらいだとばかり思っていたのだが。
実家のトイレは古い汲み取り式で、自分が子供の頃は、あまりに狭くて閉塞感があるから、家の者たちはトイレの戸を開けっ放しで用を足していた。だから、鍵らしい鍵も付いていない。人が使っていると、戸が開いているからわかるというふうだった。しかし、長い休みに親戚が来たりすると、そんな事情は知らないで駆け回っている子供が飛び込んで来そうで落ち着かなかったりする。
休み前の友達との約束が重なって連日となり、親の顔色が気になってあまり眠れないでいると、何故か何度もトイレに起きている様子弟が勉強部屋の僕の引き出しを探っている気配がする。見られて困るような物もないから構わないのだが、音が五月蝿いし、離れにあるトイレに行く度に通過する台所の灯がともるのも気になって声をかけた。辞典を借りようと思ったのだが、散らかっていてどこにあるか分からないと言う。あまり見返したくないテストのプリント類などがごちゃごちゃ突っ込んだままになっていて、こちらが気まずくなる。五月蝿いからいいかげんに寝てくれと八つ当たりのように言うと、「うちの人たちはまだ気付いていない。うちはあと2日で終わるのに。支えていたものが無くなったら、古い家は終わる。そこから後は、辛いことしか起こらない。もう2日しか無いのに…」と、不吉なことをきっぱりと言い、何だかぞっとするように目が覚めた。折りたたみ式の階段を上げたままの実家の二階の物置部屋を、家族が居なくなるずっと前からそのままにしていることにふと気付いて、何だか落ち着かない気持ちを引き摺っている。