心でっかちの世の中

昔、友達と「繊細なのは良いけれど、内向きにだけセンシティブな人は困る」とよく話しあった。自分の気持ちには細かくこだわるが、他人のことには配慮無く無頓着な人、くらいの意味。
今は、ネットごしに同類を見つけやすい多様性の世の中だから、肩身の狭かった様々な人たちそれぞれが場所を得て、主張して譲らないことを権利だと考えやすい。一見良いことだけれど、社会も人の心も広さは有限だから、誰もが譲らないことを正当だと考えれば、実際は衝突も綱引きも暗黙裏に激しくなってギスギスする。そして各々自分を被害者だと考え頑なになると、更に摩擦はエスカレートする。主張する力の弱い人や分野はひたすら圧迫される。
どんな立場、属性であろうと、誰はばかることない生き方をしていると信じている者は始末が悪い。
内向きにセンシティブな人を「心でっかち」というのだと、新しい友達に教えて貰ったが、油断すると誰でも心でっかちになりがちなのが現代の生き辛さだなと思う。