HOT WAX vol.3


深作特集、ちょっと関係書籍供給過剰気味かなとも思ってたけど、思いのほか面白かった。
号を重ねるごとに映画レビューに力が入ってきてて、今回は情報も見立ても結構掘り下げられてて読み応えありました。
俺の大好きな『資金源強奪』が大きく取りあげられてるのも嬉しいし(基本的に『いつギラ』と同じ話。でもこっちの方が更に10倍カッコイイです。CSとかでやってたら迷わず観るべし!)、『北陸代理戦争』への熱い入れ込みも好感。
これからこの辺りの70年代邦画に触れたい人には、入門ガイドとしてもおすすめです。


しかし何より、東映時代「墓場」2作の渡哲也をフィーチャーしてくれてるのが嬉しい。
西部警察以降しか知らない人は、「額面だけの大根硬派役者」(失礼)ってふうに思ってる人も多いと思うけれど、硬派スターという観念性が突き詰められた時の袋小路感、破滅とデカダンの匂いって意味では、この時期の渡の右に出る者はいない(『やくざの墓場』レビューの「どうにもならない運命とどうしようもない性」、「不幸」に彩られた傑作って表現は良かった)。

Hotwax 日本の映画とロックと歌謡曲 vol.3

Hotwax 日本の映画とロックと歌謡曲 vol.3