ラスト、機動隊に包囲されたショーケンが

ランクルでパトカーの群を踏みつけながら疾走するシーンの、思わず笑いが込み上げてくるようなやり過ぎ感。
人がギラギラと脱出を企てる瞬間の生命力のはばたきをひたすら描き続け、当時すでに60を越えていたにも関わらず、こうしたエクスキューズ無用のアクション映画に挑んでいく、ギラギラ中毒のような深作欣二その人のイズムそのものだ。
死に際の木村一八が若い警官に向かって吐くセリフ、
「兄ちゃん、ハタチやそこいらでそんな格好して恥ずかしくないねぇのかよ。もっとロックしろよ!」
当時は、「こんなユルイ時代じゃ、アウトローぶることこそ安易。いい気になってるガキをこそ叩いてくれ、深作!」なんて感想を持ったものだが、どうやら風化したのは世相やそれにすっかり規定されていた、こちらのセコイ分別臭さの方だったようだ。
他分野で言えば、檀一雄に通じるような本物の健康で明朗な精神を持つ、無頼派作家だと再認識させられた、三十路も半ばを迎えた誕生日。