『野獣刑事』(82年東映セントラル 監督工藤栄一 脚本神波史男)

bakuhatugoro2008-02-03


シネマアートン下北沢の特集上映「映像の刺客・工藤栄一http://www.cinekita.co.jp/schedule.html#kudouに合わせて、introさんに『野獣刑事』のレビューを寄稿しました。
http://intro.ne.jp/contents/2008/02/03_1619.html
集団抗争時代劇の傑作を含む特集で何故? と思われる方も多いかと想像しますが、例えばペキンパーで一本だけ選ぶとしたら『ガルシアの首』になる自分のような人間としては、この映画をこそ真っ先に推したい。
ただ、入れ込んでいることを熱っぽく語ることが正直ちょっと恥ずかしいタイプの映画ではあって、レビューの文章も多少ぐねぐねと歯切れが悪かったりするんですが、正真正銘の傑作であることは間違いありません。
同じ週にかかる『ヨコハマBJブルース』『逃れの街』なんかもそうなんですが、工藤作品は、決定的な画作りにこだわるあまりに物語が破綻気味だったり、感情移入の過多によってトータルの流れやバランスが崩れてしまうことも多い中(それでも、個人的には大好きなんだけど...)、この映画は本当に最後まですべてがバッチリ決まってます。
何度観ても、裕也さんの『ローリング・オン・ザ・ロード』に、胸掻き毟られます。
タイトルに偽りありというか、この映画には「野の獣」のように生きられない人間達しか登場しないけれど、自分の不幸や不甲斐なさを、他の何ものにも転嫁することなくかみ締めて生きる、男の映画だとは思う。
未DVD化作品なので、少しでも引っかかりを感じた方は、この機会を逃さず是非!