松本清張スペシャル『指』 『戦国自衛隊』 『野性の証明』

発売心待ちにしていた、ショーケンLIVEDVD2枚が未だ届かず。
それ程の人気商品とも思えないのに(非常に残念至極なことですが...)、最近のアマゾンの遅配はちょっと度が過ぎてるところがあるんじゃないか。
どんな商売にしろ、一人勝ちってのは、あんまり良いことじゃないんだろうね。



火曜、ぜんば氏のブログより情報を得て、清張原作、荒井晴彦脚本のドラマコンプレックス『指』を観る。地上波のドラマをきっちり観るのって、随分久しぶりだ。
大して期待していなかったせいもあったのかもしれないが、予想外の面白さ! 録画してないのが悔やまれる。
女優の後藤真希とレポーターの星野真里。貧乏、ハングリーな女同志のつばぜり合い。孤独と飢えを抱えている同類同志だからこその、互いに容赦のない戦い。勿論、ドラマだから、多分に類型化され、オープンエンタテイメントになってるんだけど、それぞれのやむを得えざる事情や、人間らしい「揺れ」の部分を織り込みつつ、同時にベタ付かないスピード感のある、エッジの効いたドラマに仕立てる手際はさすが。
自分はモーニング娘関係には全くの無知なので、本当は今更って話なのかもしれないけれど、後藤真希の一度泥を舐めた者特有の開き直りと、微妙な「腐れ」具合はなかなか良かった。タイプは違うけど、一頃の菅野美穂のようなブレイクを期待したい。
彼女に捨てられるレズ相手高岡早紀にしても、最近は女優の方には、小粒だけどなかなかコクのある人が一定数出てきている気がする。
それに比べて、若手男優陣全般の無色透明さ加減は何だろう。やはり男が個性を全開に伸ばすには、タブーの多い時代ってことか...



一昨日は、某企画の準備かねて、夜半より奈落君と『戦国自衛隊』と『野生の証明』を続けてDVD観賞。
戦国自衛隊』は、本当に今更言わずもがなだけれど、ひたすら「男のロマンと快楽」だけが、1シーン、1カットの無駄もなく詰め込まれた大傑作だと再確認。シナリオも撮り方も音楽も、すべてがストレート、ベタであり、尚且つそのすべてに説得力がある(本当に、脚本が俺の苦手な鎌田敏夫だとは信じられない)。
千葉ちゃんは勿論だけど、渡瀬は言動の一々が不良性感度抜群で最高。部隊を離れて村々を襲い、略奪と強姦を繰り返す放埓を極める彼らだけど、部隊長の千葉ちゃんに見つかり戦闘になった途端、「俺は降りるぜ」と抜けようとするメンバーを、渡瀬は即座に射殺。「てめえのやったことには、筋は通さなきゃならねえんだよ!」
道徳とか善悪とか云々じゃなく、ここがズルズルになっちゃってる(というか、最早意識さえしなくなってる)ことが、現在の一番駄目なところなんだよな。
この映画に、洒落や冗談じゃなく(そして、アナクロだの、マッチョイズムだのファンタジーだのというエクスキューズ抜きで)、ちゃんとグッと来れるヤツとじゃないと、俺は本当の意味で友達にはなれないなってことを再認識した(最近男のことを「漢」って書くヤツが多いけど、俺はあれが大嫌い。一見男気を称揚してるように見せかけて、キッチュバロックって括りに閉じ込めて安心しようって内心のさもしさが許せない。今、まともな品性のある人間だったら、絶対使わない表現だと思っている)。



野性の証明』は、昔テレビで観て以来、随分久しぶり。
佐藤純弥監督、レインジャー部隊の訓練シーンや、アメリカの大平原で本物の戦車隊に大砲ぶっ放させたりの、大作としての構えはいつもながらさすがなんだけど、構成、編集の不器用さ、それに1カット、1シーンで緊張感を持続させるべきシーンをこらえ性なく切っちゃうせいで、流れが分断されて全体がのっぺり平坦になる癖は『新幹線大爆破』から『男たちの大和』まで一貫している。平和ボケの現在に男の野性を対置させたいのか、自衛隊批判がしたいのかが曖昧、不明瞭な点なんかも。
しかし、そういう平坦な茫洋さみたいなものが、どこか大作としての安定感に繋がってるところがあるのも不思議(最近の、自分のことばっかり始終考えてるような映画の神経質な空気と、まさに対照的に)。これが作家性と言えば作家性なんだろうな...
  


先週末以来の不摂生がたたって、今朝より高熱を発してしまう。幸いインフルエンザじゃなさそうで一安心なんだけど。
貧乏性で、なかなか長時間ゆっくり眠れない方なので、こうして有無を言わせず「休まされる」機会っていうのも、時にはいいかもね。


戦国自衛隊 [DVD]

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野性の証明 [DVD]

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