すぎむらしんいち『サムライダー』連載終了(ネタバレ注意!)


う〜ん。まあ、こんなもんなのかな...


通過儀礼をやり残した(という意識を抱えた)まま、だらだらと半端にお茶濁してるおっさんたちが、もう一度きっちり突き抜けようとする話を、直球、しかもエンタテイメントとしてやろうとした本作。その心意気や良しなんだが、人間、気合で乗り越えられるものとそうでないものがあって、そこをキッチリつき付けられて身にしみることも(というか、本来それこそが)オトナになるってことだったりするはず。
けど、それを穏当に描くだけでは、どうしても真面目で地味な話になっちゃうし、そんなこたあ、とっくによくよく身にしみてるんだから、一時景気のいい打ち上げ花火でも残酷ショーでも見せろや!ってのが、まさにボンクラの気分でもある。
ただ、そういう勢い勝負っていうのも、ずっとやってるとどうしても単調になって、最後はダレてしおしおに、っていうのも常。


賽木原を自作自演で核攻撃して、祟り神サムライダーをふきとばし、中国に濡れ衣かぶせて日本州で戦争させようとするアメリカ大統領(ブッシュにそっくり)を返り討ちにして、「俺たちの戦争はとっくにはじまってるぜ!」と、爽やかに締めるラスト、ではあるんだが...


アッパーズ自体の終刊の煽りがあったにしても、やっぱり、あっさりしすぎてるんだよなあ(要は、飽きちゃったんだろうけどさ)。
これじゃあ、自分たちの苛立ちと祟り神の関係はうやむやのまま、矛先は全部アメリカに押し付けておしまいかよって感じだし、祟りだのなんだの、そんな因縁もう俺には関係ねえ!って納得させるには全然パワー不足。正直、もう二度三度、「まだやんのかよ!」ってこっちがあきれるくらいの、しつこい修羅場で盛り上げてくんないと、パワーで納得させられるには至らない。ラストのセリフそのままの、現実に対する緊張感や攻めの姿勢が、今のすぎむらにあるとは到底思えないし。


個人的には、すぎむらにもう一度微妙でしんどいところへ、敢えて踏み込んで欲しいところだけど、次回作はエロ満載なので乞うご期待!ってことらしいので、当分は期待薄だろうな。


取りあえず俺は『いつギラ』でも観返して、ガソリン入れなおしとくか。


サムライダー 1 (アッパーズKC)

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いつかギラギラする日 [DVD]

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