哀悼 鈴木ヒロミツ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070314-00000158-sph-ent
突然で本当に驚いた。
昨年あたりまでは、BSのGS特番に登場して歌ってくれたりしてたのにな...
いつだったか、そのテの番組で「朝日のあたる家」のカバーをしてた時は、声の延びはさすがに衰えが感じられたものの、抑揚と爆発力は今だ圧倒的で、若い世代含めた他の出演者の中でも際立っていた。
個人的には、今も変わらず日本最高のロックボーカリストだと思っていた。
原稿にも何度か書いたことがあるけれど、モップスはPYGと並んで自分が一番好きで、実際によく聴いていたロックバンドだった。 今でも日常的に抵抗なく聴ける、本当に数少ないロックバンドだった。
和製エリック・バードンとも言われた、ブルージーでちょっと湿った、爆発力のあるボーカルもさることながら、『雨』や『愛に野菊を』のような日本の70年代独特の、ちょっと暢気で楽観と感傷が入り混じったような、おおらかな雰囲気が大好きだった。
『モップスと16人の仲間』のジャケットに描かれた緑の草原は、自分にとってロックの夢と開放感のイメージそのものだった。
このアルバムはGSがブームを過ぎた後のフォーク全盛の時代に、彼らなりに生き残りをかけて企画されたものでもあったのだろうけれど、フォークのソングライターたちによる素朴で叙情的な歌はヒロミツの声質によく合っていたし、彼ら自身が歌うとやや自意識過剰な窮屈さが感じれれる歌が、ヒロミツのキャラクターによって開かれて、後続世代の僕らに届いた。
『夜明けの刑事』『明日の刑事』での、あの丸っこい体にペラペラの背広を着込んで汗だくになって走る、現代っ子だけどナイーブで人情家というキャラクターも、『太陽にほえろ!』のマカロニやジーパンと並んで、自分達と大人の世界の間で懸命に橋渡しをしてくれているアニキのように、身近で心安く思えた。彼らの刑事ドラマの世界では、浪花節とロックは決して対立するものではなかった。
ヒロミツが歌った主題歌、挿入歌の3曲はどれも名曲だ。
若者の主張が「自分」に収斂したバラバラで寒々しいものに聞こえ始める以前の、自由と優しさへの素朴で楽観的な希求が、輝いて感じられた時代を体現した歌手だった。
愛する人がいた
野菊をつんでいた
過ぎていく季節が
夕焼けに 抱きしめられ 燃えていた
明日も逢いたい 風に吹かれて
あなたは花束を 飾りたいと言った
二人には粗末な花びんしかないけれども
この花に 美しいねと 言ってあげたい
愛があれば 愛さえあれば
寂しさを のりこえられるのさ
苦しみ忘れて...
あなたのほほえみに
涙が光っていた
何も云わなくても
手をだせば 手が重なり 求めあう
夢を捨てずに 生きてゆきたい
「たどりついたらいつも雨ふり」
http://www.youtube.com/watch?v=SuYPyDx_t2g
「朝まで待てない」
http://www.youtube.com/watch?v=3QcMB3iuqd0
「気らくにいこう」
http://www.youtube.com/watch?v=qYdBHPXjrOA
『夜明けの刑事』OP
http://www.youtube.com/watch?v=KfJ8VONRDIk
- アーティスト: モップス
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