おかげさまで、


「ロック画報22 映画×ロック」http://www.p-vine.com/app.php/mo/Shop/ac/ProductDetail/id/2971 売れ行き好調のようで、版元在庫切れの模様。
このムック、深夜の「傷だらけの天使」の再放送観ては、自分の将来悲観してブルーになって、翌日学校サボったりしてた田舎の煮つまり高校生だったかつての自分のような連中にちゃんと届いて欲しい。ここ読んでちょっとでも引っかかりのあった若い人には、是非今のうちに手にとってみて欲しいです。

ロック画報 (22)

ロック画報 (22)


昨日のクリスマスイブは、病み上がりの死んだ目で新宿をぶらつき、ディスクユニオンの和モノセールや諸々DVD店をうろつくものの、懐寂しくなかなか手が出ず。初期投資に躊躇するようじゃヤキがまわった証拠なので気合入れなきゃなのだが、なかなか焦点定まらず。


その後、紀伊国屋本店の映画書コーナーで町山智浩ブレードランナーの未来世紀」、鹿島茂「蘇る 昭和脇役名画館」、そして長らく絶版でレアだった「御家庭映画館」の新装版である色川武大「映画放浪記」を購入。


町山本は予想通り、80年代という時代背景の肝をしっかり掘り下げて同時代の映画を語る、ストレートかつ重厚な出来。彼の根っこのところで「リベラル」の建前に呪縛された人間観は、何かを守ろうと(している自己イメージに)固執する余り、人間性のある部分を切り捨ててしまっていて、そこに欺瞞を生じており、同意できない部分が多々あるけれど、それでも根っこのパッションはさすがだし、ディティールの積み重ねが自身の思想を裏切っているような部分は特に面白い。そこを、もっとストレート、誠実に掘り下げてくれたらもっともっと凄くなると思うんだけど、無理なんだろうな...


鹿島本は、とにかくガキの頃からマニアックな街っ子の記憶とセットになった情報量に、とにかく圧倒される。こういう路線じゃ、初期条件が違いすぎて我々カッペは到底かなわない。ただ、やっぱりこういう人は、語ってる対象の尖り方にくらべて、本人の中に本当の意味でデスペレートなものが決定的に足りないんだよね。そういう意味で生意気を言えば、何故か(こういう仕事では)最終的に負ける気がしない人でもある。
しかし、芹明香ファンとしては、未知の映画『狂棲時代』はじめ、はじめて知るディティールも多く、大変有難かった。

甦る昭和脇役名画館

甦る昭和脇役名画館


そして、「街っ子」と「不良性感度」の両方を完璧に備えている色川本。これは数年前にオリジナルを大枚はたいて入手していたのだが、街中でふいに出会うと嬉しくて声をかけたくなる知人のようで、金欠とか言ってるくせに迷わず買ってしまった。しかし、パラパラめくっていると「昔は、人間というものは(自他ともに)かわいそうな存在だった。今は一人一人が組織の中に組み込まれていて、不充足はあるけれど、かわいそうな存在に見えない」なんてフレーズが飛び込んできて(これ、前もどこかで引用したような気がするな...)、何度読んでも刺激的だったり溜飲が下がったり。

映画放浪記 (大人の映画館)

映画放浪記 (大人の映画館)


とまあ、こんなことで良い気分になり、まんざらでもなくクリスマウイブを過ごせちゃってる自分は、とりあえず今のところ幸せだと思う。