石田衣良編『危険なマッチ箱』(文春文庫)

彼の著書を読んだことが無く、たまたま見つけたまったく未知のアンソロジーだけれど、意外にも(失礼!)面白いセレクト(乱歩や星新一のような大メジャーから、俳人の西東三鬼まで)。編者のコメントも率直で良かった。「アフォリズムはいかにシャープでも、なかなか人生の奥底には届かないものだ。そうとわかっていても、ぼくは表面の切れ味や華やかな機智が好きだ」「人間はとかく飽きる生きものだ。そこで人生や世の中の実感派として、井伏鱒ニや山本周五郎色川武大が登場してくる。(…)自分では到底書けない世界とあきらめているけれど、やはり作品は素晴らしい」