音楽日記 もう一つ(25日追記)

先日、友人の「サンデーまさかり」改め「日本ミュージック」のライブを観に、下北のモナレコードに行ってきた。
まさかり君を見るのはほぼ一年ぶりだったが(ライブハウスに足運ぶこと自体かなり久しぶり)、彼曰く憧れのモナレコード初出演だったこともあってか、MCも歌いっぷりもやけに生真面目で(いつもが不真面目ってわけじゃないけど)、一人でグルグルした挙句勝手に投げやりになるようないつもの芸風が引っ込み気味の、やや硬い印象のライブだった。オケ作りを中途半端に頑張りすぎたのも、結果的にチープな笑いが際立たなくなって、今のところ裏目に出てるかも。
彼の場合、本気の焦燥と小心なメタ視点がない交ぜになったペーソスが肝なので、成長とか洗練の方向の見つけ方に案外と苦労するのかもしれない。でも、やるんだよ!


と、日本ミュージックの出来はやや微妙だったのだが、彼の次に出た下釜一臣というギター弾き語りの男性がかなり良かった。
(ここで音源聴けます http://www.myspace.com/kazuomishimogama
モナレコードは、今様シティポップスというか、所謂「喫茶ロック」系のハコで、この日はまさかり君含めてほぼ初出演の人ばかりだったせいもあり、他はハナレグミのコピーっぽい草食系フォークな人ばかりだったのだが、下釜さんだけはちょっと違った。一見似たようなアルペジオ主体の静かなフォークなんだけど、微妙に土の匂いがするというか、どんなに詩的で柔らかい比喩を歌っていても、ふわふわと取り留めのない前者と違って、背後に人の暮らしから生まれた歌なんだなって手応えがある。 静かだけど強い感情がある。
音楽的な背景としては、アメリカのトラディショナルなフォークミュージックの影響が感じられるのだが、それが彼の佇まいと歌の世界に本当によく合っている。
僕は山川直人さんの『コーヒーもう一杯』というマンガが好きなのだが、下釜さんの歌の向こうにも、毎朝おいしいコーヒーをゆっくり入れるような、日常の一つ一つを大切に生きている人の気配が伝わってくる。その「スロー」な感じが単なるファッションじゃなくて、毎日の食事や家事、隣人との会話、通勤の風景や季節の匂いといったことを、当たり前に大事にしていることに、遠くばかり見て目の前がおろそかになりがちな怠け者としては、逆に当たり前でない非凡さを感じる。
日々の一つ一つの心の動きを雑に流してしまわずに、でも、流さざるを得ないことも、時間をかけて受け入れている「地に足のついた人」だってことが、音や佇まいから言外に伝わってくる。
彼は食品工場で働きながら音楽を続けているらしいのだが、日系ブラジル人の同僚が祖国に帰る時贈ったという歌など、ちょっとジーンとしてしまった(確か「時のかけら」という曲だったかな…)。
こういう人の肌触りって、音源だけではなかなか気づけないものなので、やっぱりライブっていいなと思った。


彼、見た目はおっさんみたいなんだけど(失礼!)、プロフィールを見ると83年生まれとある。うわ、若いなあ…と思ったが、よく考えるともう26歳。単にこっちが歳食ってるだけだった(笑)
ともかく、マイスペースに上げられている音源もすばらしい完成度。いつか僕の友人たちとの競演も見てみたいなと思った。


あと、先日お願いしたペリカンオーバードライブ、サマソニ出演の為の投票の件。
日付が変われば、毎日でも投票できるとのことなので、何卒引き続きご協力お願いします。
メアド打ち込むとiPod当たるらしいので。
よろしく!


ライブ画像と、投票の入り口はこちらから。
http://emeets.jp/pc/artist/1664.html

コーヒーもう一杯 V (BEAM COMIX)

コーヒーもう一杯 V (BEAM COMIX)