シネマアートン下北沢閉館

bakuhatugoro2008-06-07


http://www.webdice.jp/dice/detail/479/


船出して間もない『映画時代』としては勿論のこと、近隣に住む邦画ファンとしても本当に青天の霹靂。
神代×ショーケン号の販売では、スタッフの皆さんには本当にお世話になったし、それ以前に現在の好調な売れ行きは、シネマアートンはじめ、ラピュタ阿佐ヶ谷シネマヴェーラなど新興の名画座が、古典として評価が固まったものに限らず、現在の若者への引っ掛かりを充分に考えた上で、6,70年代のアナーキーな邦画の特集を、あの手この手で地道に仕掛け続けてこられた成果への後ノリだと思っている。
個人的にも『かぶりつき人生』を初めて観ることができたのは、シネマアートンでの神代特集。70年代東映特集や工藤栄一特集では、大好きな『資金源強奪』や『野獣刑事』を友人達に観てもらうことができたし、つい先日も、ショーケン特集での『めまい』、そして「その男刑事につき」特集では、浅草名画座では上映中止になった勝新の初監督作『顔役』をスクリーンで拝むことができた。
『映画時代』が軌道に乗ったら、メンバー推薦オールナイト上映を企画したいなんて、一人で取らぬナントカの皮算用をしたりしてたのに…
本当に、文化事業はタダじゃないってことを、あらためて思い知らされた出来事だった。


今回の親会社の不祥事は、劇場で頑張って来られたスタッフの皆さんには与り知らぬことだし、各出資者の商売上のイメージといったことを度外視してちょっと口を滑らせてしまうと、個人的には「どうしてその程度のことで」と、思っている。現状を逆手にとって、敢えて「文化事業」を応援してみせる、太っ腹な新経営者の登場を、1映画ファンとして願ってやまない。
ただ、現在展開されている、シネマアートン存続の署名には、残念ながら僕は乗ることができません(というよりも、この件に限らず、実は署名運動という行為一般に、自分はちょっと懐疑的なのです)。
ここに一票を投じて、何らかの意思表示をしたつもりになってしまうことは、自分のような凡人の場合、まったくリスクなく、自己満足や自己顕示欲の方を満足させることだけに終わってしまいそうだから。例えば、「自分たちが出資して経営を維持し、スタッフの皆さんには、このまま意欲的な企画を続けていただこう」といった主体的、能動的な呼びかけならば、より納得しやすいのだけれど、それだと今度は自分にそれに乗れるような甲斐性がない。
恥ずかしながら、シネマアートン閉館の第一報を聞いた時、台所火の車の我が『映画時代』の売り上げ清算を真っ先に心配してしまった、情けない限りの小さい人間なわけです…
何とも後ろ向きに聞こえるかとも思いますが、自分の身の丈、狭量とエゴイズムを、誤魔化さず責任を持つことをまず第一と考えての我儘でもあり、お見逃しいただければ幸いです。


そして、今は唯、『映画時代』の内容を充実させていくことが、各名画座さんのご努力をはじめ、映画状況に対して唯一の貢献たり得ると祈って(というと、大袈裟すぎますが)、頑張っていきたいと思います。