メモ

現在、戦争をたんに利害の衝突からのみ眺める妙な先入観がありますが、そんなかんたんなものではない。負けた方が、侵略のままにまかせた方が、下手に戦うより楽な場合だってあります。それをなぜ、人類は性懲りもなく戦争を繰り返してきたか。それは意識するとしないとに関わらず、自国の文化を守るためでありましょう。自分のくせや気質を守るためでありましょう。それほどに、自分の気質とかくせとかいうものは大事なものであります。それは私たちの、いわば生き方であって、それを変えろと言われるのは自分の生活が否定されるほどに辛いのです。(福田恆存