よいお年を〜
本年印象深かった事々。
1位 萩原健一 渋谷AX 11/18(ライブ)
ボロボロ、ダサダサぶりに、却って昨今まれなロックの「取りかえしも、かっこもつかない」極北のリアリティが横溢。アンドレマルローそのままの、男っぽい客の雰囲気も最高。
2位 『座頭市物語』主演:勝新太郎
池袋文芸座の一挙上映じゃなくて、CSで観たテレビ座頭市の方。俺的には、これが座頭市決定版&完成形だと確信。先日『折れた杖』を久々に観たけれど、勝新監督による傑作群に慣れ親しんでたため、昔観た時のような違和感やインパクトをほとんど感じなかった。ここでの映像主義的な実験が、テレビではうまく脚本と結びついて、エンタテイメントとしても結実してると思う。
3位 『河出ムック 色川武大vs阿佐田哲也』
未収録原稿300枚! 村松vs伊集院の対談も、余裕の笑みの向こうの煽りの応酬に不良オヤジならではのコクが横溢してて、最高だった。河出ムックは他にも『山口瞳』『内田百ケン』など、濃い好企画を連発。
4位 映画『シティ オブ ゴッド』 フェルナンド・メイレレス
『仁義なき戦い』ミーツ『ガキ帝国』。音楽のセンスも最高にスピーディな演出で見せつつ、サラっと怖い。銃社会でガキが『仁義なき戦い』やってる不気味さに、爽快になりきれない不穏さがあるけれど、それも含めて緊張感みなぎる傑作。
5位 ニールヤング 日本武道館11/15(ライブ)
フジロックの時に比べると冷静に観れた。『グリーンデイル』を丸ごと再現する内容は自分としては微妙だったけど(常に前進しようとする心意気は買うけれど、常にシンプルなロックの中で、慣れることなく瑞々しく居続けられることに、俺はより「奇跡」を感じるから)、この日も「これを毎日やってんのか!」と驚かせる無尽蔵のエネルギーは相変わらず。
6位 『ヤスケンの海』村松友視
「海(文芸誌)」のエピソードが面白くないわけがないし、ヤスケンっていう対象に引っ張られたところもあり、昨今の「ちくま的」なノリに欠けている、村松のやんちゃな資質がストレートに出た内容で、このての青春回想録が大好きな俺には最高に楽しめた。
7位 『1972』坪内祐三
今年の坪内氏は、俺としてはどうも「やっぱり新人類世代なんだね…」的に、底を割っちゃった残念感も強いんだけど、この本での連合赤軍内の、不幸な階層的齟齬に対する考察はさすが。ロックについては、優等生だねえ…
8位 『NANA』矢沢あい
久々に『ホットロード』的な熱をはらんだ盛り上がりを感じる少女マンガ。だけど、「今のフツウの子=読者」を体現したハチの欲望を肯定することに、ある意味矢沢自体がずるずるになちゃいそうな危うさが…最近ちょっとエクスキューズと合理化が鼻につくぞ。 けど、「普通の子」への嫉妬まじりのサブカルインテリ達の批評は、さらに問題外。
9位 『借家と古本』荻原魚雷
平成の梅崎春生、荻原魚雷氏の初単行本。行きつもどりつの内省とユーモア。
10位 アンドレマルローLIVE 萩原健一
遂にDVD化。世界ロック史上有数のパフォーマンス。とんでもないカッコよさ。こんな「一人ウッドストック」のような空間が、80年代日本にありえたとは…
今年後半は、まさにショーケン漬け…