ドラマの電車男、結構毎週楽しみに見てる。


恋愛なんてのは、美男美女より冴えないヤツのドタバタを見てる方がドラマがあって楽しいし、何にしろ初体験の渦中っていうのは初々しくてイイもんだ(二十歳くらいの時、彼女をはじめて招く友人のヤモメ部屋を徹夜で大改造した時のことなんかが思い出されてニンマリしてしまったり・笑)


しかし、何か一つ共感、祝福しきれないものが残るんだなあ。
やっぱり、「女に受け入れられること」がゴールっていうのがね...
恋愛ってのは相手があるもので、いいヤツだからモテるってもんでもないし、どう努力したって理不尽にフラれる時にはフラれるもんで、そこんとこ度外視した思い込みだけで「恋愛」と「頑張った自分」を美化ってのは、これはいわゆる少女マンガの世界だろう?


そう、最近の「モテ」なんて言い方にしてもそうだけど、「人間関係」そのものが目的になっちゃってるような風情に、なんだか女みたいだなって抵抗があるんだよ。
「コミュニケーションスキル」なんて言い方と一緒で、自分にどういう動機があって、誰にどう受け入れられたいのかって前提がすっ飛ばされている違和感。


昨日放送の回で、電車が脱オタしようとするシーンのBGMに、『さよなら銀河鉄道999』で森山周一郎の老パルチザンが旅立つ鉄郎を見送るシーンのBGMや、ガンダムの『風にひとりで』なんていう、「男の自立」を象徴するような曲が使われていたもので(そして俺がそういうのに滅法弱いタチってこともあって)、元ネタと電車の間にある断層が殊更に気になってしまった。



やっぱり電車は「おいどん」じゃないんだよな...
人に受け入れられることが目的で、信念(自分の基準)のない男、摩擦に耐えて迷いながら、どこかで独りそれを探してるって前提のない男っていうのは、俺は好きじゃない。最終的には。



これからの自分の模索が基本モチーフとしてあり、その上でそうした自分の都合が相対化されるような、「他者」に出会う試練として色恋沙汰があるってふうなまっとうな青春ドラマってのは、こういう姿勢からは生まれようが無いし、そういう意味ではオタク連中のこの話への反発の根拠も、単にコンプレックスからだけとも片付けられないところはあると思った。

最近のいろいろ


☆明日はボカン亭日野さんのイベントで、ゲストで回します。


「音楽殺人未遂 」
8月21日(OPEN/START PM11:00)
at CLUB ROOTS
TEL 03-3330-0447
www.muribushi.jp/index.html
CHARGE \1000+ORDER


DJ:
日野ヤスヒコ(ボカン亭)
永田カズナオ (FANTASTIC EXPLOSION)
長谷川ミオコ(無所属)
佐藤ミチオ(BARまーびん)
ばくはつ五郎(祭りばやしが聞こえる)


このイベントは面白いですよ!


☆『文学界』9月号、落語特集だったので立ち読み。
談志が昇太や花緑を軽く叩いてる。
もともと「あいつはイイんだよ」って、昇太の基礎力不足をユルい個性としてOKとしてた談志だけど、ここのところのブームを前提に、敢えて頑固オヤジを引き受けてる模様。
タイガー&ドラゴン」への突き放しや、野田秀樹への「現代においては命をかけて名誉を守るということは自明じゃないんだから、武士道を揶揄したって面白くもなんともない」って指摘なども含め、さすがのバランス感覚なんだけど、なんせ今の喉の状態なので、若い人には年寄りの繰り言みたいに聞こえちゃいそうでちょっと切ない。


☆『文芸春秋』の「60年目の日本のいちばん長い日」特集は、小野田少尉の原稿に一番インパクトがあった。
先日やってた中村獅童のドラマも、おそらく彼自身の手記の引用と思われる「戦争は国と国とのものだが、現場で戦うのはひとりひとりの人間だ」「強い信念が無ければ、戦い続けられるものじゃない」なんてタフなセリフがあったし、最近の戦争ものドラマの中では比較的マシな出来だったと思う。
ただ、あのふざけたジャーナリストのキャラクターに象徴的なように、「天然」として安全に括弧に括った上で同情ってところに収斂してしまい、逆に過去から現代の矛盾や誤魔化しが照射されてしまいかねないところが巧妙に避けられてるのは相変わらずなんだが。
城山三郎さんの大竹海兵団時代の話も、笠原和夫『「妖しの民」と生まれきて』と重なり、興味深い内容。


ルースターズのメンバーソロレビューの仕事で、久々大江の暗黒ソロ時代諸作を聴いていたらだんだん鬱々とした気分になってきて、原稿詰まりまくってしまう。具合悪くなっちゃってる人が見世物的に引っ張り出されて、けどそれが本人の意識と別に一定のインパクトがあってしまうという状態をどう評価したものか、距離置いてスゴイスゴイってやるには、個人的にちょっと思い入れがあったりして、自分の立ち居地定めるのにちょっといろいろ考えてしまった。
気を取り直そうと、ルースターズロッカーズの初期のレコードガンガン聴きまくってたら、なんだか新鮮で久々にロックな気分に。そのままパイレーツやフィールグッドのライブ盤をノンストップで聴き続けてる。
やっぱり夏はビールに枝豆でロックですな。
しかし、イベントに向けてまたモードを変えるのが大変。
そうじゃなくてもここのところ、しばらくゴリゴリマジメモードだったし...


しかしひとまず〆切ラッシュは抜けました。


これから色々バカレコ聴きながら、徐々に気分を盛り上げたい所存。