2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

親愛なる者へ

どうしようもない性分でもあり、いくらかは職業病でもあるのだろうけれど、自分の好きな世界に浸り、好きな人と話しているととても心が落ち着くのに、どこか宿題を放ったらかしているような気持ちになって、辛い人や辛いニュースが気になってしまう。気にし…

自分を試し確かめる旅

音楽に限らないけれど、表現したり受け取ったりすることには、美意識やセンスの競い合いという部分がどうしても含まれる。だから、知識や経験の少ない最初のうちは、やたらフラフラしたり、逆に頑なになったりもしてしまう。はじめから本質的に自分に深くフ…

権威好きのお利口バカは手に負えない

「1990年代には「オルタナティブ」という価値指針が音楽シーンを席巻していた。そこでは、前時代のニューウエイヴの価値相対主義的音楽観が更に拡大され、同時期に隆盛していたレア・グルーヴ・ムーブメントなどとも歩を揃えるように、神話的もしくは歴史的…

時間は夢を裏切らない。夢も時間を裏切ってはならない。

松本零士ワールドとわが青春の日々に思いを馳せつつラーメンライスを食ってきた。炭水化物の塊のような組み合わせだが、もう一つの松本作品定番メニューのビフテキと共に、健康への配慮など微塵も感じさせないボリュームと高カロリーが潔くていい。おいどん…

我が偽らざる現状認識

ユーモアのある人は物事の判断に余裕や留保があるから盲信に陥ることは無いとか、文化に精通している人は人の多面性を深く見つめているから一つの視点に捕らわれることが無いといった常套句が、現実にはまるで虚偽だったことを心底思い知らされ続けているこ…

回想の1986年

今、ガンダムダブルゼータを新鮮に見返しているという友達が、当時はロックに夢中であまりちゃんと見ていなかったと話していて、確かに自分もそうだったなと。十代後半で、より自分の現実に直結した表現を求めていたこともあったし、富野さんやサンライズ以…

僕等は極端から極端へと一丸となって適応し、それを適正な状態だと思い込む

正義(と自分を信じて疑わない人々)による他罰と弾圧。自分がこの世で一番嫌なもののひとつだ。いろいろ問題はあっても、これがもう少し自覚され抑制されれば、大抵のことは我慢出来る。しかし実際は、この指摘ほど人から嫌がられるものも無いと痛感している…

烏合の衆

禁煙が流行れば禁煙。ぶれないが流行ればぶれない。多様性が流行れば多様性。ジェンダーが流行ればジェンダー。下手に意識的に振る舞おうとキョロキョロして、人はどんどん軽薄になっていくみたいだ…。 みんながみんなガラリと、寄り添ったり、まなざしたり…

たまには日記

電気料金の引き落としに失敗、あやうく送電停止になりそうになり、昨日慌てて払い込みに。あちこちで値上がりかキツいという話は聞いていたのだが、六畳の木造アパートで基本料金が低いから誤差程度だろうとタカを括っていたのだが、甘かった。隙間風のキビ…

群れたい人々には余計なお世話なのだろうが…

「そんなことは知性のある人には言うまでもない前提だから説明は省略」といった前提は、実際はまだ確かな前提でも何でも無い場合が多いと、経験的に思っている。せいぜい論者周辺の希望的観測でしか無い場合が殆どだと。日常会話ならともかく、大切な議論は…

異論に独りで対峙出来ない人間の弱さ

不愉快だけれど何だか痛いところを突かれてる気もする言葉にぶつかって落ち着かないから、仲間に漏らす。「何だかあれ気持ち悪いんだよね」「実は俺もそう思ってた」「そういえばあいつは前から…」朝鮮人が井戸に毒を入れているなんて噂も、誰かの怯えの伝言…

未熟な心を追い詰めない緩くて広い価値観を

極端な物の見方が正義や常識になっていると、経験や言葉の蓄積を持たない子供は特に、そこからはみ出している自分をおかしいんじゃないか?と、内心を誰にも明かせないまま自責に苦しむ。そんな記憶のある人は、自分を許して救われたように、他の誰かも許し…

戦争と平和についての情けない本音

戦争に反対だけれど、戦争を仕掛ける他国の指導者を僕等が選べる訳じゃない。大国の傘の下でずっと豊かな平和を享受してきて、侵略された国によそを恨むな、戦うなというのも酷薄な話だ。かと言って積極的に何かに寄して手を汚したり、増して自分が手を汚し…

それぞれの事情を取るに足りないと思わせる普遍的正義?の怖さ

いわゆる左翼の人と議論していて、相手が正面からの返答に詰まった時、「おまえ(あいつ)は、普通の人々に対しておかしなコンプレックスを持っているから、批判の鉾先が左翼に向かって来るのだ(そういう個人の歪みによる事情だから、聞くに値しない)」という…

警戒すべきは瀕死の土着性などではなく観念的集団の暴走

今、一見にわかに右傾化(実は左傾化も)が目立つようになっているのは、旧来の家族とか、いわゆる体育会系とか会社世間の縦社会と云われるような土着的な共同性が強まったり復活したりしているからなどでなく、寧ろ逆だと思う。消費やサービスを媒介に、贈与…

人の弱さや善意につけ込む思想への嫌悪

弱い人や、傷付いた人、優しい人たちを必要以上に不愉快にさせたくないから、あまり口にしたく無いのだけれど、そうした人の弱いところ、心の柔らかいところに訴えて取り込んでしまう、思想や信仰やマルチビジネスなどが本当に苦手だ。必要とする人たちを一…

とかくこの世は住みにくい。お互い様だ。

合理性を追求すると、時間が出来たり仕事が楽になったりするけれど、そのかわり人の生きていく力は衰弱する。便利を求めて、手間や時間のかわりに、企業のサービスをお金で買うようになると、楽ではあるが自分が自分の暮らしの主人では無くなって、他人に預…

山田太一「浅草はちゃんと生きている」より

「「冷淡」と小沢(昭一)さんは書いているが、まさしく浅草あたりの感触の一つは「冷淡」だと思う。ひとたび気心が知れれば、自分でも持て余すくらい親切になったりする「冷淡」もあるにはあるが、大体密集地で商売をしている人間が、そうそう他人に入れこん…

社会を企業と消費者から労働者の手に取り戻す

コスパとか合理性が最重要のように云われる風潮が本当に嫌いだ。人間はそんなに本能や欲望が固定された合理的な存在ではないし、一人一人がそれぞれの事情による、未知を常に生きていることが忘れられて、便利に画一的な正解ばかりを求めたり、求められたり…

過敏な神経がだらしなく偽善と感傷を生む

どんどん敏感に様々なことを問題視したり、病気の名前が増えていくことが、本当に幸福に繋がっているか?本当は、そんなに何もかも細かく意識する余裕は無いのに、お題目を形だけ増やして、却って自分の欲望や、切実なものの順序が見えなくなってはいないか…

実感もしていない伝聞を一大事だと思い込まされる倒錯

男女差別だとか性暴力だとか、ここ数年俄かに社会的第一義の大問題のように騒がれているけれど、自分の視界に入る人間関係の中で、男女差別が自分達の間から内発的に深刻に意識されたり、誰かが性暴力に苦しんだりといった話をほぼ見たことも聞いたことも無…

咎める人が苦手

いつも五月蝿い自分のような者が言うと笑われそうだけれど、人を責めたり咎めたりすることも、咎めるのが好きな人を見るのも苦手だ。いかに生きるかとか、物の見方、考え方を問うことは好き…というか考えずにいられない性質だし、自分だって、人の卑怯や傲慢…

精神主義者の諦め

自分は、大抵のことでは食うに困ったり飢えたりしない時代条件の甘さとか、皆が出来ることや我慢出来ることができないという辛さやコンプレックスから、稼ぐことや皆と歩調を併せるといった人が第一義とするようなことを置き去りに、気持ちや納得の問題を上…

同時代の一観客にとっての『竜二』について

「さりげなく切々と我が子に歌うショーケンの佳曲「ララバイ」に触発された故金子正次の脚本、主演、自主制作による一作。シノギを持てず妻子と別れた過去を持ち、懸命に成り上がったがどこか空虚で、いつしか鎧が重くなる80sヤクザ竜二。「なんかさー、金と…

人生のまわり道に教わる

よく聴いていたミュージシャンたちが次々に亡くなりはじめて、彼等を思い出すと共に、自信なくあてどない気持ちで、いちばんロックにのめり込んでいた頃の記憶が蘇ってきている。ロックといっても、様々な価値観やスタイルが群雄割拠していて、若い聴き手た…

借りものの名前には頼らない

特に目の前にはっきりした理由があるわけでもなく、心が金属疲労を起こしているように、鉛のように重い。同時に身体も重くなるので、動くのが億劫でいろんな用事を後回しにし、昨日もずっと部屋で単純仕事をしていた。水面下の理由としては、気持ちをピュア…

バンドブーム回顧企画で回顧されにくいバンドたちの記憶

デルジベット https://m.youtube.com/watch?v=GvQjRgeWCaA&feature=youtu.beグラムロックの影響が語られていたけれど、猥雑な印象は薄く、耽美趣味への感受性が乏しい自分にはずっと接点が無かった。しかし、ふとビデオクリップを見かけたこの曲は、音も歌詞…